「体育嫌い」は、「運動嫌い」じゃない?
体育の授業が苦痛なのは、本当に「運動嫌い」が原因でしょうか?
わたし自身、小学校の体育の時間は苦痛でした。鉄棒の逆上がりができず、みんなの前で何度も練習させられる。鬼ごっこではいつも足が遅いからと一番に狙われ、ドッジボールでは「負けるから一緒のチームは嫌だ」といわれたこともありました。そして、運動会のかけっこではいつもビリで、周りの注目を浴びながら一人でゴールに向かう…。
この頃のわたしは、「自分は運動が苦手で、嫌いだ」と心から思っていました。でも、大人になって気づいたんです。わたしが本当に嫌いだったのは、体を動かすことそのものではなく、「人前でできない自分を見られること」や「周りと比べられること」、そして、そこからくる心無い言葉や苦痛な経験だったのかもしれない、と。
わたしは運良く、授業や集団での比較から解放された大学での経験を通じて、体を動かすこと自体は楽しかったんだと気づきました。もしこの気づきが子どもの頃にあれば、わたしの学校生活はもっと違ったものになっただろうと心から思います。
子どもの「体育嫌い」を放置してはいけない理由
「体育が嫌い」だからといって運動そのものが嫌いなわけではありません。「運動音痴」だからといって、運動が上達しないわけではなく、楽しめないわけではないのです。「運動が苦手なんだから仕方ない」と諦めてしまうのは、実はとても危険です。なぜなら、その気持ちを放置すると、本来楽しいはずの「運動」そのものを避けるようになるだけでなく、学校生活での心のゆとりが失われていきます。
「体育嫌い」を放置することは、単に授業の時間がつらいだけでなく、子どもの心と体の両面に大きな影を落としてしまうのです。
1. 自己肯定感の低下:学校生活全体が苦痛になる
授業中に「できない」状況が続くと、「自分はダメな子だ」という認識が強まり、自己肯定感が下がってしまいます。やがて、体育の時間が緊張や不安で心が休まる暇のない、「早く終わってほしい」だけの苦痛な時間になります。その心の疲れが他の教科や学校生活全体にも及んで、学校生活そのものが「灰色」の時間になってしまう危険性もあります。
2. 運動習慣の欠如:将来の健康リスクが高まる
体育が嫌いなまま大人になると、体を動かす習慣が身につきません。その結果、将来的に肥満や生活習慣病のリスクが高まります。体力や筋力が衰え、足腰が弱くなるといった具体的な健康問題に直面する可能性も出てくるのです。
「体育嫌い」を克服し、体を動かす楽しさを見つける3つのステップ
では、どうすれば子どもの「体育嫌い」を「運動好き」に変えられるのでしょうか?大事なのは、無理に学校の体育に合わせるのではなく、子どもに合った環境を見つけてあげることです。運動系の習いごとを検討してみるのも一つの手です。習い事には、学校の体育とは違う、いくつかの大きなメリットがあります。
ステップ1:「できない」を「楽しい」に変える習いごとを見つける
習いごとは、お子さん自身が興味を持ったものを選べます。学校の授業のように、苦手な種目にも無理に挑戦する必要はありません。例えば、走るのが嫌いならダンス、ボール運動が苦手なら水泳など、お子さんに合った「楽しい」を優先できる環境を見つけてあげましょう。「楽しい」という感情は、お子さんの心のエネルギーを満たし、心のゆとりをもって学校生活にのぞめる効果があります。
ステップ2:成功体験を積み、自己肯定感を育む
習いごとの多くは、同じようなレベルの子たちが集まります。そのため、学校の体育のように「自分だけできない」と感じる状況が少なく、少しずつ「できた!」という成功体験を積み重ねていくことができます。この小さな成功体験こそが、子どもの自信を育むのです。
ステップ3:ストレス発散と心身の健康を両立させる
体を動かす習慣ができることで、基礎体力や運動能力が向上するだけではありません。体を動かすことで得られる達成感はストレス発散にもつながります。体を動かすことで心が満たされ、精神的な成長にも良い影響を与えます。
お子さんに最適な習いごとを見つけるための具体的なヒント
「うちの子に合う習い事なんてあるのかな」と悩んでいるなら、以下のヒントを参考にしてみてください。
苦手克服に特化した「個別指導」という選択肢
もし、「人に見られるのが苦手」「自分のペースで進めたい」というお子さんなら、個別指導が向いています。勉強に家庭教師がいるように、体育でも「体育家庭教師」や「個別スポーツ指導」といったサービスがあります。学校の授業でつまずいていることや、次の体育の種目(跳び箱、鉄棒など)に焦点を当てて対策できるため、「授業で恥ずかしい思いをすることが減る」という具体的な効果も期待できます。人目を気にせず、基礎からじっくり教えてもらうことで、短期間で苦手な部分を克服できるメリットもあります。
友だちと一緒だから頑張れる「集団レッスン」
「一人だと心細いけど、大好きな友だちとなら頑張れる」というお子さんには、友だちと一緒に通える集団レッスンもおすすめです。同じ目標を持つ仲間と一緒なら、モチベーションも保ちやすいでしょう。
まずは体験レッスンで「好き」を探す
スポーツの種類にこだわらず、お子さんが少しでも興味を持っていること(水泳、ダンス、武道など)から探してみましょう。実際に体を動かしてみるのが一番です。複数の教室の体験レッスンに参加してみてはいかがでしょうか。
お子さんの「体育嫌い」を「運動嫌い」にしないために、ぜひ一緒に新しい一歩を踏み出してみませんか?
子どもの学校生活が劇的に変わるヒントは、こちらの記事でもご紹介しています。
この記事を読んでくださり、ありがとうございます。
思春期の子どもを持つ50代母です。
かつて仕事で子育てセミナーを企画運営する中で、専門家の知見や多くの親の悩みに触れてきました。
自身の経験とプロの視点を踏まえ、親の心のゆとりと、子どもの主体性を尊重する姿勢が大切だと確信。
このブログでは、ずぼらな面もあるわたしが、無理せずラクに心地よく暮らすヒント、完璧じゃなくてもいい工夫を発信することで、あなたの子育てを優しく”ととのえる”お手伝いをしたいと考えています。