子どもが生返事をしてしまうのは「悪気」ではなく、強い集中による“選択的注意”が原因です。
この特性を理解し、大声を「怒り」ではなく“重要な呼びかけの合図”として事前にルール化すると、
親のイライラも、子どもの反発も劇的に減ります。
1. 子どもの「生返事」は無視ではない
子育て中の親なら、一度はこんな経験があるのではないでしょうか?
- 「はーい」と返事はしたのに、後で聞くと「聞いてなかった」と言われる
- 何度声をかけても、ゲームや動画から目を離さない
- 「返事したのに、なんでやってないの!」とつい強く言ってしまう
親としては「ないがしろにされた」と感じてイライラしますが、
多くの場合、これは無視ではなく“本当に気づいていない状態”です。
子どもが気づかないのはなぜ?
心理学では、強く集中している時に周囲の刺激が入りにくくなることを
「選択的注意(Selective Attention)」と呼びます。
生返事は「条件反射」で、
返事をした本人が返事をしたことを覚えていないケースも珍しくありません。
2. 生返事が親のイライラを招く「悪循環」
生返事や反応の遅さが続くと、親子は次のような流れになりがちです。
- 親は普通の声で呼ぶ
- 反応がないため、声のトーンが上がる
- 子どもは“強い調子の声”になって初めて気づく
- 親は「無視された」と感じ、子は「いきなり怒られた」と誤解する
ここでズレているのは、
親は「何度も呼んでやっと気づいた」に怒り、
子は「急に強い言い方をされた」と感じて反発することです。
このすれ違いこそが、親子の衝突の中心にあります。
3. わが家の実践策:「大声は怒りではなく“合図”」と決めたらうまくいった
イライラが落ち着いているタイミングで、わが家は子どもと次のルールを作りました。
わが家の「大声=合図」ルール
- 普通の声で気づかない時は、少しきつい調子の声を出す
- これは“怒り”ではなく「あなたはまだ気づいていませんよ」という合図である
- 子どもは“怒られた”と思わず、「あ、何か言ってた?」と反応する
このルールが成功した理由
- 事前の合意がある
急に怒られているのではなく、“合図”だと理解しているので衝突が起きない。 - 親が感情的にならない
想定内の行動として対応できるため、イライラが激減。 - 子どもが素直に切り替えられる
「ビクッ」としても、
「怒っているんじゃない」と分かっているのでスムーズに反応。
小さな取り決めですが、親のストレスも、子どもの不満も一気に減って心のゆとりができました。
4. うまくいくための「親子ミーティング」3ステップ
生返事を改善するには、感情的になっていない時に話すことが重要です。
わが家が実際に行った対話手順をご紹介します。
【ステップ1】現状の共有と共感
- 「返事がないと心配になる」「無視された気持ちになる」など、I(アイ)メッセージで親の気持ちを伝える
- 子どもの理由(集中していて気づかない)も聞く
【ステップ2】一緒に解決策を考える
- 「どうすればお互いイライラしない?」と相談
- 「声色の変化を“怒り”ではなく“合図”にする」など、現実的な方法を提案
【ステップ3】ルール化して了承する
- 具体的なルールを決めて、親子で合意
- 決めたことは“お互いに守る約束”として共有
5. まとめ:生返事は「理解」と「ルール」で解決できます
子どもの生返事は、親を困らせたいわけでも、無視しているわけでもありません。
原因はほとんどが 集中時の特性 であり、衝突の原因は 認識のズレ です。
そのズレは、
✔ お互いの理解
✔ 事前の合図ルール
があれば、驚くほど簡単に解消します。
「大声=怒り」ではなく「大声=気づいてねの合図」と再定義するだけで、親子のコミュニケーションは驚くほどスムーズになります。
ぜひ、一度試してみてください。
この記事を読んでくださり、ありがとうございます。
思春期の子どもを持つ50代母です。
かつて仕事で子育てセミナーを企画運営する中で、専門家の知見や多くの親の悩みに触れてきました。
自身の経験とプロの視点を踏まえ、親の心のゆとりと、子どもの主体性を尊重する姿勢が大切だと確信。
このブログでは、ずぼらな面もあるわたしが、無理せずラクに心地よく暮らすヒント、完璧じゃなくてもいい工夫を発信することで、あなたの子育てを優しく”ととのえる”お手伝いをしたいと考えています。