【自己肯定感を育む育児】子どもの「すごい!」より「楽しい!」を共有しよう:ボウルビィの愛着理論に基づく親子の幸せの循環

子どもと一緒に過ごす時間は、何物にも代えがたい宝物です。しかし、正直に言って、子どもの熱中しているテーマが、親である自分の範疇外であることってよくありますよね。電車、昆虫、ゲームのキャラクター…。つい、子どもの話を「聞いてあげている」と感じてしまうこともあるかもしれません。

そんなときこそ思い出してほしいのが、「楽しんでいる子どもの姿を見て、親も楽しむ」というシンプルな姿勢です。知識や結果への評価を手放し、子どもが夢中になっている「感情」そのものにフォーカスすることで、親子の関係は劇的に深まります。

この記事では、心理学の理論に基づき、子どもの自己肯定感と安定した愛着を育むための具体的なアプローチをご紹介します。

1. プロセス・プラーキングで自己肯定感を育む育児

わたしたちは、子どもの「知識量」や「スキル(結果)」に目が行きがちです。

  • 「そんなに名前を覚えていてすごいね!」
  • 「上手にブロックを組み立てられてえらいね!」

感心すること、褒めることは、子どもの自己肯定感を育むために重要です。しかし、これらが過剰になると、子どもは無意識のうちに「知識をつけないとママに認めてもらえない」「結果を出さないと愛されない」と感じてしまう危険性があります。これは、条件付きの承認となりかねません。

心理学で言う「プロセス・プラーキング(過程の承認)」を意識しよう

現代のポジティブ心理学では、「結果」よりも「プロセス(過程)」を褒めることの重要性が指摘されています。(※プロセス・プラーキングとは、結果ではなく努力や過程、取り組み自体を承認すること)

子どもが昆虫図鑑を夢中で読んでいる場面を想像してみてください。

  • (結果への承認)「こんなに覚えるなんてすごい」
  • (プロセスへの承認)「そんなに夢中になって読んでいる姿を見て、ママはとっても嬉しいよ」

「知識をたくさんつけてすごい」というメッセージよりも、後者の「あなたが興味があることを楽しんでいる姿を見て、ママはとっても嬉しい」というメッセージの方が、子どもの存在そのものと、その感情への無条件の承認を伝えます。

2. ボウルビィの愛着理論:愛着を深める「応答性の育児」

子どもの熱中している世界は、親にとっては未知の世界かもしれません。それでも、親が取るべき姿勢は「受容」と「共有」です。

これは、精神科医で愛着理論の第一人者であるジョン・ボウルビィが提唱した「愛着(アタッチメント)」の視点からも非常に重要です。

親が子どもの感情をそのまま受け止め、共感的に応答する(応答性)ことで、子どもは「自分はありのまま愛されている」「世界は安全だ」という感覚を育てます。この安全感が、その後の人生における心の土台となります。

伝わる魔法のメッセージ

無理に子どもの遊びに合わせようとしなくていいのです。代わりに、次の魔法のメッセージを伝えましょう。

「ママにはわからない世界だけれど、あなたが心から楽しんでいるのがよくわかるよ。そんなに楽しそうなあなたを見ていると、ママも幸せな気持ちになるよ。」

この言葉には、「あなたの存在、あなたの興味・関心は、ママの喜びの源だよ」という強い肯定のメッセージが込められています。子どものありのままの感情を受け止めることが、最も確実な愛着形成の道なのです。

3. 親子の「幸せの循環」を積み重ねる

子どもの遊びを「楽しんであげなければ」と義務感に駆られると、親は疲弊してしまいます。

本当に大切なのは、「楽しく遊んでいる子どもの姿を、親も心から楽しむこと」です。

  1. 子どもの楽しむ姿を見る(プロセス)
  2. 親がそれを見て幸せな感情を感じる(承認)
  3. その幸せな感情を子どもに伝える(応答性)

この幸せな親子の時間の積み重ねこそが、「幸せの循環」となり、何よりも大切なのです。

この循環の中で育つ子どもは、「ありのままの自分」でいることが許され、自分自身を肯定できるようになります。知識や成果を褒める育児ももちろん必要ですが、それ以上に「興味があることを楽しんでいるあなたが大好き」という無条件の愛を、ぜひ伝えてあげてください。それが、子どもの一生の心の土台となります。

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