今日の心づもりは?──子どもの主体性と親の心の余裕を守る“魔法のことば”

「今やろうとしてたのに!」子どもの反発をなくす魔法の言葉とは?

「〇〇しなさい!」
──そう言った瞬間、4〜5歳くらいの我が子がこう返してきました。

「今やろうとしてたのに!」

成長を感じてほほえましい気持ちになった反面、ふと不安もよぎります。
「いつまで笑って受け止められるかな? そのうち『どうせ言い訳でしょ』と腹が立つ日が来るのでは?」

この記事では、そんな“言い争いの火種”になりがちなやり取りを、子どもの主体性を育てるチャンスに変える「魔法のことば」とその使い方をご紹介します。

「今やろうとしてたのに!」に隠された、子どもの本音と対応のコツ

「どうせ言い訳だろう」と思いがちなこの一言。実は、その裏には複雑な心理が隠されています。

  1. 「自分で決めたかったのに」という気持ち 子どもは自分の中で、「次にこれをしよう」という計画を立てています。その計画を親に先回りして言われることで、自分の意思を尊重されなかったと感じてしまいます。「やらされている」という気持ちが、腹立たしさに変わってしまうのです。
  2. 自己防衛のための「反発」 「本当はまだやっていない」という後ろめたさがあるとき、その焦りや罪悪感を打ち消すために、「今やろうとしたところ!」と反発することで、自分の怠慢を正当化しようとするのです。これは、親から言われたことに対して、自分の主導権を守ろうとする本能的な行動でもあります。

この一言は、子どもの中に「自分で決めたい」という主体性の芽が育っているサインであると同時に、自分の心の状態をどうにかしようとする自己防衛のサインでもあるのです。

悪循環を断ち切る!親のイライラをなくす魔法のことば=今日の心づもりは?

言い争いを減らす鍵は、「やる時刻」と「声かけタイミング」を事前に共有することです。

子どもと一緒に一日のスケジュールを確認する魔法の言葉は──「今日のこころづもりは?」

これを一緒に決めておくことで、次の効果があります。

  • 子どもは「自分で決めた」という当事者意識を持てる。
  • 親は約束時間を根拠に落ち着いて声かけできる。
  • 「今やろうとしてたのに!」という反発が激減する。

実践ステップ:親子で「整った関係」を築くために

  1. 今日のスケジュールを確認する
    • お稽古事、毎日やると決めていること(宿題、ピアノのお稽古など)、子どもがやりたいと思っていること(遊びなど)、今日だけの予定などを一緒に確認しましょう。そして、「じゃあ〇時にやる?」と、やる時間もちゃんと確認します。
    • ※ 絶対にやってほしい時間がある場合は、あらかじめ少し早めに設定しておきましょう。
  2. 声かけタイミングも子どもに決めてもらう
    • 「時間だよって教える?」「それとも10分前に『そろそろだよ』って言う?」「過ぎてもやってなかったら声をかける?」 このように、声かけのタイミングを子ども自身に選ばせることで、子どもは「自分の状況を理解してくれている」と感じ、さらに親への信頼を深めます。
  3. 親の心構え:イライラしないための「心のゆとり」を持つ
    • スケジュールを立てる上で最も大切なのは、親の心のゆとりです。子どもは計画通りに動けないことがほとんど。「約束したのにやっていない!」とイライラしないためにも、スケジュールには最初から「遅れる可能性」を考慮に入れておきましょう。
  4. 約束後の声かけのコツ
    • 決めた時間を過ぎてもやっていなければ、「〇〇する時間、過ぎてるよ」と淡々と伝えるのが基本です。もし子どもが「もう少し待ってほしい」と伝えてきたら、「あと何分ぐらいかかる?」「ママは〇時までにはやってほしい(理由も伝えるとより良い)」と話し合ってみましょう。 こうした対話の積み重ねは、お互いの状況を尊重し合う、「整った関係」を築くために欠かせません。

主体性は、将来を生き抜く大切な力

自分で考え、自分で行動を決め、その結果を受け入れる力、つまり「主体性」は、社会に出てからも非常に大切です。

前回の記事「勉強って楽しい!:勉強嫌いの子どもが知的好奇心を取り戻すヒント」でもお伝えしたように、主体性は「学びの楽しさ」にもつながります。親の指示ではなく、自分の意思で始めたことは、困難にぶつかっても「自分で決めたことだから」と頑張り抜く力になります。

「今やろうとしてたのに」というセリフは、親子の信頼関係を深め、子どもの主体性を育むための絶好のチャンスになります。この魔法のことばで、親子の時間をより穏やかなものに変えてみませんか?

今後の記事の予定

親が陥りがちな「主体性尊重の勘違い」とは?

「子どもが自分で決めるようにしている——でも、なぜかうまくいかない。

「子どもに任せていたら、結局何もしない」から、主体性を尊重するのは難しい。

そんな風に感じていませんか?

実は、親が「主体性を尊重しているつもり」でも、無意識のうちに子どもの主体性を摘んでしまっていることがあります。

今後の記事では、そんな親が陥りがちな「主体性尊重の勘違い」を深掘りし、子どもの本当の「やりたい」を引き出すためのヒントをとりあげていきます。

子どもの主体性を尊重した関わり方のヒントをさらに知りたい方へ。

下記の記事では、子どもの主体性を尊重することが「勉強って楽しい!」につながることについてお話しています。
記事:「勉強って楽しい!:勉強嫌いの子どもが知的好奇心を取り戻すヒント」はこちらから」

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